2024.4. @DIY BOOKS written by 平田提さん
(DIY BOOKSのHPにザマ撮影の写真も使っていただいています!ご覧ください!(トップページのポートレート、ZINEスクール紹介などなど))

## 大学時代に楽しかった経験から、ポートレートをライフワークに

――なぜポートレートの撮影を始められたんですか?

なぜかというと、時間をもてあましていたからです(笑)。 2021年12月ぐらいから時間があって。
写真の作家性についてずっと考えていました。
「作家性があったらいいけど、なんだか難しい。そもそも自分はなんで写真撮るのが好きなんだろう?」と。

改めて思い返すと、大学時代に原体験がありました。
同じ寮にいた、サークルの先輩が良い写真を撮っていたんです。
写真にキャプションが絶妙にフィットしていて、「面白いなあ。おれもやろう!」とやり始めた。
コンデジ(コンパクトデジカルカメラ)で、身近な友だちを撮りました。そうしたら喜んでもらえた。
いい顔を撮って残してあげたい、写真に残したいと大学時代に撮った経験が今の活動のルーツだと思います。
それで2022年に会いたい人に会いに行って撮るようになり、2023年からは撮影会も始めました。

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――では大学卒業後すぐにカメラマンになられたんですか?

いえ、しばらくは違う仕事をしていました。
新卒で入ったのは紙の専門商社。封筒用紙の営業担当だったんですけど、営業は「売ってなんぼ」の世界。
やがて「なんのためにやっているんだろう?」「数字のため?」「誰のために仕事しているんだろう」と自問するようになってしまいました。
鬱寸前で、職場に向かう千代田線に乗っている間にクラクラして気を失ってるような……。

――それは大変ですね……。

そこで、楽しいことがしたくなった。
それで「大学時代の写真撮るのは良かったな、仕事にできたら楽しくないか」と写真にまた向き合うようになります。 社会人2年目のときに週1回、写真の専門学校に通い始めました。100万円のローンを組んで。

――新卒2年目ぐらいは一番今後の身の振り方を考える時期ですよね。いろんな現実を知って。

そうですね、やっぱり仕事以外で承認されたい欲求もあったのかもしれません。
専門学校では先生にかわいがってもらえるようになりました。学校自体は1年でカリキュラムが終わったんですが、数年後に先生から「手伝ってよ」と連絡がありました。先生が昔修行したという、 青山のスタジオで撮らせてもらったりして。そのうち「サッカーわかるよね?」とサッカー選手のコマーシャルの撮影にお邪魔させてもらったり。アパレルの現場にも行きました。

先生と。大阪に仕事で来られてた時。このときは現場で使う機材の手配だけしました笑

## 転職し、婚礼写真のカメラマンを経験

――そのあとも同じ職場でお仕事をされていたんですか?

最初の会社の3年目で関西に来て、その後は結婚式場のカメラマンの仕事に転職しました。

――写真が仕事になったんですね。

とはいえ専門職ですし「BtoC」の仕事。撮りこぼせない緊張感が常にありました。
1年半ぐらいの経験でしたが、「婚礼写真が撮れる」といえるようになったのは大きかったです。
ただ給料を上げていきたい思いもあって、そのあとは営業の仕事にまた戻りました。今度は建材業界。でもやっぱりお金で仕事を選ぶと、モチベーションが続かないんですよね。

――主体的に、自分のできる範囲で人の役に立てないとしんどいものがありますよね。

そうですね。不動産関係の営業担当に営業をかけるので「夜討ち朝駆け」といって、その営業担当が朝出るか夜戻ってきたときに営業するわけです。相手がストレスフルな時間帯に営業するから厳しい。 状況を変えたくなり、退職しました。

サラリーマンしながら、たまにライブ撮らせてもらったりしてました

## ヴィッセル神戸や医院スタッフの撮影仕事など幅が広がる

――本当にやりたいことがあったわけですし、良いご判断だったと思います。

それからはハローワークに通いながら、デザインの勉強などをはじめようか考えていたんですが、やっぱり「写真しかないな」と思っていました。
それで人に会うたびに「写真、撮りますよ」と言っていたら、依頼が 来たんです。関西圏の医院を回って開業前にスタッフの皆さんの写真を撮る仕事で、この仕事が始まってから2017年11月に開業届を出しました。

開業して間もないころ

――人との出会いから仕事がつながっていたんですね。

そのあともODPのセミナーで知り合った方がヴィッセル神戸のお仕事を繋いでくださいました。チームとしての練習風景や、選手の方が使える写真を撮る仕事です。おかげで仕事の幅が出ました。

ただサッカーは12月になるとオフなので、練習がなくなるし時間ができるわけです。
それで冒頭の話につながります。
仕事を増やすために、ポートレートがPRになるかはわからなかったけれど、とにかくやりたくなったんですね。大学時代から、元々好きな表現なわけですから。

自分を大事にするというか、大事にしていることを磨いたほうがいいんじゃないかと。
「座間さんってこういう写真撮るよね、じゃあ依頼しよう」って思ってもらえた方がどちらも幸せだと思いますし。

――ポートレート撮影では人としっかり話されるそうですけど、営業の経験が活きている気もしますね。

人とお話するのは得意かもしれないし、好きですね。
2023年から、Instagramで「撮影会をやります」と発信して来てもらった人を撮影するスタイルになりました。
2022年は「今、ここ、わたし」のタイトルで、その人の現場に行って撮ることを大切にしていました。
こちらの2022年の作品)

## 話しながらポートレートを撮り、その人の人生を前に進める手伝いがしたい

――座間さんが「この人を撮りたい」と思うのはどんなときなんでしょう?

その方がされている仕事の独自性とか、自分との関係性でしょうか。
独立する前に、バーテンダーの方を撮らせてもらったことがあります。ある音楽ジャンルに特化したバーが面白そうで行ってみたら、ミュージシャンでエンジニアの人で。そこで撮影できそうなイベントや制作会社さんを紹介してもらったり、尼崎で知り合った双子用自転車をつくった人を撮らせてもらったり。 恩人を撮っているところはあります。最初に撮ったのは親でしたし。

――一番の恩人ですね。これからはどこに向かって撮っていきたいですか?

どんな人の役に立てるのかを常に考えながら、撮影のサービスをつくり続けていきたいです。
写真を撮るだけではなくて、結局僕はお話も聞かせてもらっている。
写真以上の価値や、写真の意味づけをどうするかずっと考えていきたい。
いきつくところは自分です。自分が一番救いがいがある。
ただ自分が撮ることで救われる人もいるんじゃないか。
僕が撮ることで「なんかよかった」と思ってもらって、その方の人生を前に進めるお手伝いができたらうれしいです。


ザマ話にお付き合いいただき、原稿を書いてくださったDIY BOOKS平田さん
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